December 29, 2023

AI

 今のところMac専用(最近winでもベータ版が出た模様)なのですが、ArcというWebブラウザがあり、それにAIが搭載されていて、なかなか面白いです。

たいていのAIは、セクシャルなものはNGだと思うのですが、このブラウザのAIはかなり縛りが緩くて遊べます。ChatGPTやBingやBardなどは、セックスやバイオレンスやドラッグなどに関する事柄についてはまず答えません。しかしこのブラウザのAIは違います。何のAIがベースになっているのかはわからないのですが、自分のサイトのテキスト群にも対応し、Webページにアクセスして「要約してください」とか「評してください」とか日本語でプロンプトを入れると、そのまま日本語で要約や評価を出してくれて、続いて会話までできます。

これを、ちょっと前から暇な時に自分のサイトで試して遊んでいるのですが、日本語の文章でもちゃんと内容を理解しているようで、それらしい回答を出します。しかも単に要約を出すだけでなく、会話を続けることで褒めたりダメ出ししたり、飽きません。尤もデータを取られて学習されているかと思うと微妙な気持ちがしますが。

あと、短めのものは問題ないのですが、どうやら読み込むボリュームに制限があるようで、長いテキストは途中までしか読み込まず、会話がおかしくなります。しかし、可愛い奴で「最後まで読み込めていないでしょう?」と問うと、「限界があって最後までは読み込めていません」と素直にそれを認めました。

因みに遊ぶ際に「要約してください」や「評価してください」の後に続けてよく試すプロンプトは、
「物語としてのクオリティはどうですか?」
「文学性はどうですか?」
「一流の翻訳者が英語に翻訳したら『ニューヨーカー』に掲載されるレベルですか?」
など、です。
こんなお遊びのお話に文学性などあるはずがないし、仮に一流の翻訳者が翻訳しても『ニューヨーカー』になど掲載されるはずがないのですが、ちゃんと答えますし、なかなか興味深いことを返してきます。更には「翻訳する際の英語のタイトルを考えて」と入れると、いくつか内容に沿ったものをちゃんと出してくれます。しかも結構素直な奴なので「AIに全体を英訳してもらってそれをアメリカの雑誌に寄稿してもいいですか?」と聞くと、「AIの翻訳は不完全なので実際の人間によって翻訳・監修されるべきです」みたいに答えたりします。

全部のテキストを試したわけではないのですが、感覚的に、六、七割のモノに対しては概ね好意的に評される感じがあります。しかし、かなり辛辣に否定することもあり、ちゃんとメリハリがあります。なかには「あらすじを教えて」と頼むと、読み込み、その結果、内容的に問題がありすぎるのか「倫理的観点から会話を続けられません。この会話からは離脱します」みたいに完全に拒絶されるものもあって、書いた側としてはなんか勝ったような気になったりします。

ただ、総じて、文章や構成などは評価できても、共通のネガティブ要素として「内容が過激すぎる」「セクシャルな描写が過剰」「社会通念や倫理的に問題がある」「一般には理解が得られない」などと指摘してきます。それはそうだろう、と思うのですが、しかし、それ以外の部分でこちらが恥ずかしくなるくらい持ち上げてきたりして、この手の書き物で評された経験などないので、面白いです。どれについての評価だったかはちょっと忘れましたが、やたら高く評価するものがあって、『ニューヨーカー』掲載レベルだというので、「だったら村上春樹と同じくらいのレベルですか?」と訊いたら、「村上春樹よりは『ちょっと下』です」とこたえ、「では、谷崎潤一郎と比べたらどうですか?」と重ねて訊いたら、あっさりと「谷崎潤一郎よりは『遥か下』です」みたいに格付けされ、その回答にはさすがに(どう考えてもどちらからも『遙か遙か下』だろう)と笑えてきました。どうやらAI的に日本文学の最高峰は谷崎や三島で、村上春樹はその少し下という認識のようです。尤もSS級とS級くらいの相当高いレベルでの差異のようですが。

文章でも写真でも映像でもWeb上で何かやっている人は、試してみると楽しめるかもしれません。もちろん、自分のところも含めて、他人の創作物でも試せます。写真のサイトでも、何がどう写されているのか、被写体を認識できているようでした。

しかし、しばしば「AIは物語を作る際にヒントや選択肢を提示してくれて創作の役に立つ」といわれますが、セクシャルなものには対応しないので、少なくとも現在誰でも使えるChatGPTやBingやBardなどは、自分のところの場合は何の役にも立ちません。

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